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お局撃退の下策~上策:お局が居ない職場があるってほんと?

目次

はじめに:職場におけるお局問題とは

職場における「お局問題」とは、多くの経営層とって頭の痛い課題です。特に「お局様」と呼ばれる職場の古参社員が引き起こすトラブルは、人間関係の悪化を招く大きな要因となります。お局様は、長年の経験を理由に若い社員に対して圧力をかけたり、威圧的な態度をとったりすることがしばしばあります。この結果、職場の雰囲気が悪化し、業務の効率にも影響を与えることから、職場全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことになります。

新入社員が仕事に集中しようと努めている中で、理不尽な圧力や嫌味に直面することで、精神的なストレスが増大し、最悪の場合、退職に至ることさえあります。このような問題は、企業にとって人材の流出や信頼の失墜といった深刻な損害につながる可能性があります。職場環境を改善し、良好な人間関係を築くことは、組織の持続的発展に不可欠です。

この様なお局様を撃退する上手な方法はないのでしょうか? この記事では、どんな撃退方法があるのかを検証していきます。

職場にはなぜお局がいるのか?

問題解決を感情的・ヒト帰責で行う職場にお局が発生する

職場において「お局」という存在が問題となるのは、しばしば感情的な問題解決や人に責任を帰す文化が根深く存在するためです。このような職場では、問題を解決するための合理的なプロセスが欠如しており、お局が定着する環境を作り上げてしまいます。特に経験年数が長いという理由で威圧的な振る舞いを許容する風土が醸成されるケースも少なくありません。これにより、新入社員や若手社員は精神的な圧力を受け、職場の人間関係が悪化することがしばしば見られます。この種の職場文化を改善しない限り、お局を退職させることは簡単ではありません。

周囲が忖度し、パワーバランスが生まれる

職場におけるお局の存在は、周囲の忖度やパワーバランスが生まれることでますます強固になります。お局は、組織内である程度の力を持つ存在となり、周囲の社員はその影響を恐れるあまり、意見を直接言えなくなったり、業務上の対立を避ける行動を取ったりします。その結果、お局を中心とした職場のパワーバランスが形成され、業務に支障をきたすこともあります。この状況を放置すると、職場全体の士気や成果に悪影響を及ぼし、最終的には組織の信用まで損なう可能性があります。効果的な対策として、経営者や管理職が率先して職場の風土を健全に保つ努力が求められます。

お局対策の下策:正面から対抗する

お局に感情的に対立したときの悲劇的な結末

職場のお局様に感情的に対立すると、事態はより悪化する可能性が高いです。お局様は長年の経験を生かしているため、その感情的な暴走は、対立した相手よりも周囲に支持されやすいという特性があります。実際、ある新入社員のケースでは、お局様に対して感情的になったことで、さらに職場でのいじめが激しくなり、精神的にも追い詰められ退職に追い込まれるという悲劇的な結末を迎えました。職場の人間関係が崩れ、仕事の成果にも影響を及ぼす可能性が高いため、感情的な対立は避けるべきです。

お局に理論的に対立したときの絶望感

理論的にお局様と対立しようとする試みも、しばしば失望感をもたらします。お局様は自身の職場での立場を強く認識しており、その経験を武器に理論的な論争でも巧妙に切り抜けるスキルを持っています。例えば、自分の意見を表明しても、お局様の長年の経験や影響力により、職場の他の社員や上司がその意見を支持せず、立場が悪化することもあります。このため、単に理論的に対抗するだけでは、お局様を退職させるといった根本的な解決には至らないケースが多く、対策には緻密な計画と理解が必要です。

お局対策の中策:上司に相談する

上司や幹部層に相談

職場の人間関係の問題はしばしば経営者や管理職にとって大きな課題となります。「お局様」と呼ばれる存在が発生する理由は多様ですが、彼女たちによるトラブルは無視できない問題です。これに対処するための一つの方法として、まずは上司や幹部層に相談するという方法があります。彼らは職場のパワーバランスを監視し、適切なアドバイスや対応を講じる能力を持っていることが期待されます。このような相談を受けることで、組織全体の雰囲気を改善するための手段を模索するきっかけとなることもあるのです。お局様との問題を抱える社員が、その原因を率直に伝えることは、理解を深め、戦略的な解決策を見つけるための第一歩です。

表面的に解決しても完全にターゲットにされることも

しかし、上司に相談することで問題解決を試みたとしても、必ずしも成功するわけではありません。しばしば、表面的には一時的に解決したように見えても、さらに根深い問題が残ることもあります。実際に、お局様からの嫌がらせ行為に対して上司に訴えたケースでは、一時的に問題が解決したかのように見えたのち、再びターゲットとして狙われることもあります。このような状況では、職場での居心地がさらに悪化し、精神的な負担が増すことがあります。特に、経営層が問題の本質を理解せず表面的な対応のみに終始してしまう場合、多くの社員が退職を余儀なくされ、結局は職場全体の士気や業務への影響が問題となることも少なくありません。したがって、上司に相談する際は、問題の根幹に焦点を当てることも重要なポイントです。

お局対策の上策:お局マネジメント

ボスマネジメントを応用

ボスマネジメントという処世術があります。ボスに何かを期待するのではなく、ボスを顧客と考え、自分の仕事に有利な存在にするためのアプローチをするというもので、お局様に対しても、同様の考え方を応用することができます。「お局マネジメント」です。お局との人間関係を改善し、職場環境を良好に保つための言動をします。お局様と呼ばれる存在は職場の雰囲気や業務成果に大きな影響を与えるため、彼女たちとの関係を円滑にすることは重要です。まず、お局の影響力を認識し、その行動を観察することが鍵です。彼女たちの立場や言動に共感を示し、「話が分かるやつ」と認識してもらうのです。そうすることで、自身の仕事を応援してくれる存在になってくれることも可能です。

清濁併せ呑む:お局は強力な味方だが社内派閥争いに巻き込まれることも

お局は時として、頼りになる存在であり、特定の状況下では強力な味方となり得ます。そのため、彼女たちを敵に回すのではなく、社内の協力者として迎える姿勢がとても重要です。しかし、お局が持つ影響力の裏には、時として社内の派閥争いに巻き込まれるリスクがあります。そのような状況を避けるためには、職場内でのバランス感覚を磨くことが求められます。清濁併せ呑む覚悟で、お局との関係を構築し、適切な距離感を保つことで、職場内での自分の立場を確立することができるでしょう。このアプローチは、一見遠回りに思えるかもしれませんが、長期的な視点で見れば、職場の人間関係を健全に保つための効果的な戦略となります。

お局対策の最上策:お局問題が未来永劫発生しない職場

プロセスに根差した問題解決の仕組みを組織的に根付かせる

お局問題を根本的に解決するためには、個々の感情や対立を超えて、職場全体で問題解決のプロセスを確立することが重要です。職場の人間関係に起因する問題は、経営者にとって常に頭の痛い課題ですが、個人の特性に依存することなく、プロセスに根差したアプローチを導入することで、原因を避けることができます。例えば、タスク進捗やチームコミュニケーションを定期的に見直すことで、誰もが意見を言える環境を作り出し、トラブルを未然に防ぐことができます。この仕組みの定着は、お局を退職させるといった対抗策に頼るのではなく、職場の人間関係を改善する根本的な解決策となります。

お局は、本来責任感の強い優秀社員:適切なマネジメントを身に着けさせる

多くの職場で問題となるお局の存在ですが、彼女たちは往々にして責任感が強く、優秀な社員であることが少なくありません。そのため、適切なマネジメントスキルを身につけさせることが、職場環境の改善に繋がります。例えば、リーダーシップトレーニングや、コミュニケーションスキルの研修を提供することで、彼らの強みを生かしつつ、他の社員との良好な関係構築を促進することが可能です。これにより、お局の存在が職場全体を圧迫する要因から、むしろ助けとなる存在へと変わる可能性があります。結果として、職場の雰囲気も改善し、社員の退職率低下にも寄与することでしょう。

ファミーユヘルパーサービスの取組

Attack Process Enage People: 自己・他人を責めず、唯 プロセスを改善する

ファミーユヘルパーサービスは、職場の人間関係改善に向けた具体的な取組を行っています。その中でも重要視されているのが「Attack Process Enage People:自己・他人を責めず 唯 プロセスを改善する」というアプローチです。この考え方は、個人の問題を責めるのではなく、問題発生のプロセスのに焦点を当てることを目的としています。職場でのお局問題は、関係性や感情的な不和が原因であることが多く、お局を退職させることで解決を図るのではなく、根本的な改善策としてプロセスの最適化に注力します。

ファミーユでは、この「Attack Process Enage People:自己・他人を責めず 唯 プロセスを改善する」の横断幕を作り、各拠点に掲示しています。経営トップ自らが、問題解決をヒト起因にしないという強い意思を示し、今後未来永劫、お局様を発生させない仕組みとしているのです。

こんなファミーユで働いてみたいと思った方は コチラ もご覧ください。


草野淳@ファミーユグループ代表
東北大学法学部卒業。アマゾン・ミスミグループなど国内外の人事マネジャーを歴任。人事制度・評価制度の構築の他、独学でITを習得し、多くの人事関連の業務効率化を主導。関連書籍も執筆。2021年からファミーユヘルパーサービス名北の管理者兼サービス提供責任者。


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