
訪問介護を再設計する「ヘルパーサービス4.0」

訪問介護を再設計する「ヘルパーサービス4.0」
――AIとRPAで管理業務の常識を超える
合同会社施恩(ファミーユ)は、独自の「ヘルパーサービス4.0」モデルを現場に導入しました。
すでに一部機能は稼働を開始し、管理間接業務の在り方を根本から変えつつあります。
実装された仕組みと変化のエピソード
1. キャンセル発言の自動処理
以前:
利用者様やご家族からLINEや電話で「明日のサービスはキャンセル」と連絡があると、マネジャーがカイポケにログインし、対象シフトを削除し、さらに関係スタッフに連絡していました。夜間や休日対応になることも。
今:
グループで「キャンセル」と一言コメントが入れば、シフトは自動削除され、LINE WORKS Botが「該当サービスを削除しました」と即通知。マネジャーは確認作業に時間を割く必要がなくなりました。
2. OCRによるFAX・電子サイン書類の自動仕分け
以前:
FAXで届くケアプランや契約書を印刷し、担当者を探して手渡し、キャビネットにファイル。必要に応じて複合機で再送付も行っていました。
今:
FAXや電子サイン付き文書はOCRで自動テキスト化され、利用者様情報や担当者に自動リンク。必要なら関係先へ自動送付。事務所からはキャビネットも複合機も撤去され、完全ペーパーレス環境になりました。
3. 音声認識+自動議事録
以前:
サービス担当者会議や面談の議事録は、誰かが手作業で記録し、後日ワードで整形。完成まで数日かかることもありました。
今:
会議を録音するだけで、自動的に文字化・要約。議事録や経過記録、プラン案まで生成され、その場で共有可能に。ケアマネ業務のスピードが飛躍的に向上しました。
4. シフトコーディネートアプリ「シフ子」
以前:
シフト調整は個別スタッフの空き時間をもらってシフト調整を長時間行っていました。調整漏れも多く問題が発生していました。
今:
スタッフが独自アプリ「シフ子」から、働きたい時間にあったシフトを自分で希望することができます。同行希望も同時にだせるので、新人の方もスムーズに稼働開始。マネジャーは「シフト埋め」に追われず、サービスの質向上・管理業務に集中できるようになりました。
マネジャー業務の変化
これらの仕組みにより、従来マネジャーが担っていた「記録確認」「調整」「連絡」といった単純業務は大きく削減されました。
今では利用者様やスタッフとの対話、問題解決に多くの時間を割けるようになり、チームとして管理できる利用者数・スタッフ数も拡大し始めています。
マイ・ファミーユ(独自システム)構築
ペーパーレス化の過程で、多くの事業所が「アプリ乱立 → 便利だけど情報が分断 → マネジャーの負担増」という壁に直面しました。ファミーユの「ヘルパーサービス4.0」は、その壁を**“既存アプリをつなぐ”独自開発基盤**によって突破しました。これが、従来の「単体アプリ導入」や「フルスクラッチ一元化」との決定的な違いです。
ペーパーレス化を進める過程で、各社はFAX受信アプリ・電子サイン・勤怠管理・シフト管理など単体で優れたアプリを導入。
しかし、アプリ間の連携は弱く、**マネジャーが情報を移す“橋渡し役”**を担わざるを得なかった。
結果として「LINE WORKSでキャンセル連絡が来ていても、カイポケには反映されず、スタッフが誤って訪問に行ってしまう」といったトラブルも発生。
ファミーユのアプローチ(MyFamille)
既存の各アプリを捨てて一元化するのではなく、すでに現場で機能しているアプリを活かしつつ、自動的に連携・集約させることに重点を置く。
API連携・RPA・Botを駆使し、アプリ間の「抜け・重複・齟齬」を埋める独自アプリケーション=MyFamille を開発。
これにより、LINE WORKSでのキャンセル発言が即カイポケのシフトに反映され、Botが通知するように、複数アプリの断絶をユーザーが意識しなくてよい環境を実現。
何が独特で機能的なのか?
「全部まとめる」発想ではなく「既存をつなぐ」発想
→ 大掛かりなスクラッチ開発や置き換えではなく、現場で使い慣れたアプリをそのまま生かし、速く・小さく・効果的に改善。マネジャーの時間を奪っていた“情報の移動”を自動化
→ 各アプリ間の情報を移し、操作するといった作業工数を根本から削減。スピード感のある開発と実装
→ Supabase・Node.js・LINE WORKS Bot・API・RPAを組み合わせ、2カ月でリリース版を構築。
まとめ
介護現場に求められるのは「人海戦術」ではなく、業務を自動化し、人にしかできない対話と判断に集中できる構造です。
ファミーユの「ヘルパーサービス4.0」はその実装を現実のものとし、訪問介護における新しい管理モデルを提示しています。