
第3章:ヘルパーサービス3.0 ― 間接業務の自動化 RPA+AI+Bot 急速に様変わりするファミーユ

苦しいトンネルを抜けた時、本領発揮の未来が待っていた
人が来ない・休めない・昇給できないという負の連鎖を断ち切るため、業務の標準化・柔軟な人材活用体制の構築を進めてきました。ヘルパーサービス2.0が導入されるまでの経緯です。詳しくは 第1章:人が増えなきゃホワイトにはなれない。でも、採用応募には誰も来なかった。 第2章:紙がなくなれば、昇給も有休も?? 苦難を乗り越える度に変わっていくファミーユにまとめています。
その結果、現場が安定し、仕組みが利益を生み、待遇改善が可能となり、ようやく“人が来る”状態が常態化したのです。
つまり、私たちのヘルパー事業は、2024年を境に、大きく進化したのです。そんな2024年の年の瀬を迎える時、私は、地道にすすめてきたペーパーレスによって蓄積されているデータが、ある日ふと「宝の山」だと気づいたのです。
「クラウドに保存されているデータ、もっと使えるのではないか?」
それまでは、記録確認もモニタリングも、すべてマネジャーが手作業で行っていました。訪問記録を一つ一つ開き、特記事項に目を通し、報告と実績を照合し、注意点を抽出して指導につなげる――。誠実にやってきたからこそ、時間がいくらあっても足りない部分でしたが・・・ ここは私が本領発揮できる分野だとニンマリしてしまいました。
データの活用に挑む ― RPAで「動かす」、AIで「読む」
「まずは、単純作業からなくそう」
そう考え、私は**RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)**の導入に踏み切りました。カイポケとの相性も確認し、ブラウザ操作がスムーズに行える手軽なツールを選定。
慣れない作業ではありませんでした。私のキャリアは企業での人事部での経験でしたが、元々ITが好きで、VBA・Access・Webプログラムを独学し、以前から社内自動化ツールを自作していたのです。
しかし、これまでの考えの自動化では限界がある――。
例えば通院サービスの訪問記録では、特記事項に「診療室に入った時間の記載があるか否か」を確認する必要があり、そのような文脈を読む判断は、RPAにはできません。
そこで登場したのがAIです。
自然言語を読み取り、「これは気をつけるべき内容だ」「これはルール違反だ」と判定してくれる。
これによって、「この部分にエラーがある」というアラートをAIが自動で抽出できるようになりました。
通知まで自動で ― LINE WORKS Botの登場
そして、もう一つの仕掛けがLINE WORKS Botです。
前述のアラートが発信する先であったり、「気になる記録がある」「未対応の依頼がある」――そうした検知情報は、Botを通じて関係者のトークルームへ自動通知されます。
つまり、
RPAがデータを取りに行き、
AIが文脈を判断し、
LINE WORKS Botが現場へ知らせる。
この一連の流れが、人の手を一切介さずに動くのです。
📌「RPA+AI+LINE WORKS Bot」で可能になったこと
📌 1. 記録の自動確認・エラー抽出
カイポケに蓄積された訪問記録をRPAが取得
AIが文脈を読み、「記録不備」(例:訪問時間の誤記・空欄・加算に必要な記載不足)を自動抽出
LINE WORKS Botがマネジャーに即時通知
ファミーユの事業所内で稼働するRPA+AIの自動化ツールの様子
📌 2. 計画書・モニタリング補助
実績とサービス計画の整合性チェック
アセスメント未入力やプラン作成漏れの有無を自動判定
次回モニタリングの作成支援
必要書類はFAX自動送信まで一括対応
📌 3. LINE WORKS内の“未対応依頼”の検出
トークルーム内の投稿をAIが読み取り、「依頼」と判断される文を抽出
「至急」「確認願います」「誰か対応して」などを含むが、返信がない投稿を検知
「未対応アラートBot」が1時間ごとに通知(必要に応じて再通知)
未対応のコメントを定期的にアラートするBot稼働
📌 4. 電話・FAXなどの外部連絡の見落とし防止
通話履歴はアウトソース先(電話代行など)から受信し、Botが内容を整理して通知
代表電話の留守電やFAX受信もBotが内容(音声ファイルやPDF)をラインワークスに通知
この仕組みの“威力”に気づいたとき、次の一手の焦燥感が襲ってきた。
こうして、単純作業が次々と“自動化”され、マネジャーはようやく「考える時間」を手にできるようになりました。
私は、この時改めて思いました。
「この仕組み、もっと使えるのではないか?」
「でもこの記述は誰でも使えるもの。これは差別化といえるのか?」
「もっと根源的で根本的なブレイクスルーがあるのではないか?」
RPAもAIもBotも、確かに今や多くの人が手にできるものです。我々が考察するよりも、革新的で根本からすべてを覆してしまうようなことがおきるのではないかと焦燥感に襲われるほどでした。
しかし、「起きてもいないことを心配してもしょうがない」。私たちが長年積み重ねてきた業務知と組み合わせるからこそ、“真似できない差別化”が生まれるのではないか? と自分たちができることに立ち返ってできることをしようとおもったのです。もし、私たちが走っている途中で、見逃すわけにはいかない変化が起きたのなら、その時点で、プランを変えるだけなのだと。
「ヘルパーサービス4.0」構想の萌芽
この考察が、「ヘルパーサービス4.0」の出発点になりました。方向性はすぐにでました。 「管理スパンを非常識に大きくする。そしてより高水準の報酬を可能にするモデル」です。そして、それは、仕組みそのものが他では追随が難しい “差別化の源泉”となるビジネス設計となるのだと。
それはまた、次章で詳しく語っていきたいと思います。
こんなファミーユヘルパーサービスに興味を持たれた方は コチラもご覧ください。

東北大学法学部卒業。アマゾン・ミスミグループなど国内外の人事マネジャーを歴任。人事制度・評価制度の構築の他、独学でITを習得し、多くの人事関連の業務効率化を主導。関連書籍も執筆。2021年からファミーユヘルパーサービス名北の管理者兼サービス提供責任者。